螺旋のモノリス~京都湯けむり殺人神父ラヴィニ―のドキ☆釘付け魅惑大胸筋~

小説書きでミニチュアゲーマーが何の生産性もない無益なことばかり延々とくっちゃべってるブログ

夢を見た。夢にまで見た。

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 おっちゃんもジョーの実力は認めていたし買っていた。本気でやり合えばメガロボクスの頂点にも手が届くかもしれない才能だと。だが――同時に彼は良くも悪くも大人だった。八百長の約束を反故にすれば、恐らく自分やジョーの人生は終わるということを理解していた。だからこれまで「本気でやりてえ」と猛り立つジョーをなだめすかしてきたわけだが――この大一番を台無しにされようとしている現状に直面し、おっちゃんの中の、男が、あるいは子供が、身を起こしたのだ。わざと負けるためにダウンしたジョーに向け、「立て! 立つんだジョー!」とあまりにも有名なセリフを絶叫するおっちゃん。それは自分自身の保身を捨て、夢を見たいと思ったからだ。当然――藤巻氏はやれやれと苦笑しながら、手元の魚料理の目をいじくり始める。意味するところは明白であった。なお、おっちゃんは隻眼である。たったひとつ残った目を喪えば、もう二度とジョーがあしたにむけて戦うさまを見ることは叶わない。夢にまで見たその光景はもう決して見られない。それでも、彼は自分の手で眼球を抉り出し、けじめをつけたのである。だがーーここで特筆すべきは

 

 時間切れ。

 

(藤巻氏が代償として要求したのが眼である、という点だ)