螺旋のモノリス~京都湯けむり殺人神父ラヴィニ―のドキ☆釘付け魅惑大胸筋~

小説書きでミニチュアゲーマーが何の生産性もない無益なことばかり延々とくっちゃべってるブログ

あとのんびり解説しすぎ

 トウマの動体視力では、それが斬撃であることを理解するのにすらタイムラグを要する。
 唐突に視界が変転。長い腕に抱えられて、紅い破滅の軌跡から逃れられたらしい事実を事後承諾めいて伝えてくる。

「まずいね」

 総十郎の小脇に抱えられながら、トウマは冷静にこぼす。

「言うまでもないことだけど、神経系の電位差による命令伝達なんてアレは行ってないから、僕の拘束術式は一切効かないよ」
「そ、そんな……」

 総十郎の反対側の脇に抱えられたフィンが眉尻を下げる。
 巨神のもとへと雄叫びを上げながら突撃してゆく烈火の姿が一瞬視界をかすめた。

「何度でもブチ撒けコルァァァァァッッ!!!!」

 光爆。
 世紀末伝承者の拳に込められた天文学的運動エネルギーが着弾と同時に熱エネルギーへと変換され、宇宙開闢のごとき閃光がその場の全員の目を灼いた。
 だが――その拳は振り抜かれなかった。行き場を失った烈風が爆散し、汚染幽骨の破片を彼方まで吹き飛ばす。
 攻撃動作が、途中で止まっていた。

『ありガとう……そイつは……モう……[覚えタ]……』
「あァ……!?」

 深く穏やかな声。烈火の拳は――すべてを砕く究極無類の一撃は――アゴスの顔面に命中して止まっていた。砕きもせず、めり込みもせず、吹き飛ばしもしなかった。
 直後に世界が紅い極大斬撃によって分割され、烈火は地の彼方まで吹き飛ばされていった。流星のごとく魔城を脱し、大樹に人間大の穴を開けながら一直線に地平線の彼方までカッ飛んで行く。

アゴスの肉体は汚染幽骨――つまり歪律領域(ヌミノース)によって形作られている。しかも森の意志よるものと、ヴォルダガッダによるものが融合し、根本的に性質が変化しているようだ」
「これまで、幽骨製の武具が破損することはたび/\あったが、黒神の一撃を受けて罅すら入らぬとはいかなる仕儀か。」
「手短に話すけど、森の意志が得た悟りとよくない噛み合わせを起こしている。森は「エルフを守りたい」「しかしオークなどの脅威がいつまでもなくならない」という矛盾を神代の昔に乗り越えた結果、歪律領域(ヌミノース)に覚醒した。「外敵の存在こそがエルフを強靭にし、種としての繁栄に導く」という止揚を得たわけだ。これが煉獄滅理の性質と組み合わさり、「一度受けた攻撃では二度と損害を受けない」という理になっている」

 空中で天才ビームと闘気放射を行い、どうにか制動をかける烈火。

  いや、トウマ氏、詳しすぎひん? なんで一目見ただけの汚染幽骨の性質を看破できるの? いや、こいつは、なんか名鑑を視認できるから、なんかそれ系のアレで、歪律領域の性質も、視認できるんじゃ、ないかなぁ。というかね、作中でもゆってるけど、アゴスが物理攻撃完全無効だとしたら、いままで幽骨製の武器防具が無敵ではなかったのはどういうわけなんだという話なんですよ。確か、絶罪支援機動ユニットに思い切り刺突したら砕け散ってたよね? あれはどういうことなの? 罪業ファンデルワールス装甲とか、分子間力を補強してるだけで、形而上的なレベルの守りとは言えないのでは? いや、あれは、アーカロト氏の第五大罪を受けて、もう機動牢獄どもの装甲とは比較にならないレベルのそんざいであるから、幽骨も砕けるんだよ。ええ……それもどうなのか。だって歪律領域は、というか幽骨剣は、ようするに「剣の形をした世界の果て」なんですよ。そこを境に別の世界になっている。異世界との境界線が、三次元空間においては剣の形になっているという代物である。ゲーム風に言うなら画面端である。それを、一方的に破壊できるのか? 第五大罪装甲は? なんか違和感があるなぁ。

 

 時間切れ。

 

(そうだとしても、幽骨甲冑をまとった騎士のお歴々がヴォルさんの攻撃で負傷してんのはおかしいだろう。書いている最中、幽骨武具は鋼鉄より頑丈だが無敵ではない、というつもりでいたはずである。それが、汚染幽骨だけは烈火の一撃に耐えられる理屈付けをしなくてはならない気がする)