螺旋のモノリス~京都湯けむり殺人神父ラヴィニ―のドキ☆釘付け魅惑大胸筋~

小説書きでミニチュアゲーマーが何の生産性もない無益なことばかり延々とくっちゃべってるブログ

完全にディルムッドがフィンを食ってた

 だが――〈黒き宿命の吟じ手(カースシンガー)〉と噛み合っていた紅刃が身を引き、別角度からギデオンに迫る。巨神の膂力は乗らなくなるが、〈終末の咆哮(ワールドイーター)〉は自律して動くこともできる。

『そウかい〈鉄仮面〉……イいと思ウぜ……オレにはワからネえが……テメェがマジだッテことだけはわかルッ!!』

 伸び、のたうち、殺戮の神の下知を伝える。雷光の速度で風を切り、大気が絶叫を上げる。
 闇色の刃が幾重にも閃き、鏖殺鎌の暴威を受け止め続ける。衝撃吸収の権能に、〈黒き宿命の吟じ手(カースシンガー)〉が目も眩まんばかりの闇を宿す。

『いいもんダよなァ!! マジに生きルってのはよォッ!!』
「あぁ……あぁ、そうだなッ!!」

 無数の、無限の、無量の想いを殺意に変え、二者は斬撃を言語として語り合う。
 結果がどうあれ、これが間違いなく最後の機会だったから。
 この動乱で培われた、奇妙な絆(サツイ)。その終着を、二人とも確信していたから。

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 フィンは、唇を噛んで見ていることしかできなかった。

 あぁ、あんまり進まなかったニョ。あのー、『炎の戦士クーフリン/黄金の騎士フィン・マックール』を読了した。なんだ、フィン編の後半からディルムッドが登場するわけだが、基本的にフィンより主人公っぽい。というかフィンがグラニアがらみだと途端にダサくなるというか! あのー、『Fate/zero』だと、フィン・マックールってただの嫌なオッサンにしか見えないが、その実己の生涯の最期となる戦いに赴こうとするディルムッドを必死に止め、泣き笑いの顔を見せたというウィキペディアの記述から、あぁ、ディルムッドを憎みはしても、一方で本当は和解したいんだな、という複雑なオッサン心を覗かせているように感じられて、なかなか味わい深い男じゃないのと思っていたのだが、実際にそのシーンを読んでみると、どっちかっつーと責任逃れのために一応言葉の上では止めとくか、みたいな打算を感じて正直フィンの格というかオサレ値が大幅に下がったのだが、しかしフィンの見せ場はそのあとだったのだ。ええと、前編のクーフーリン編では、クーフーリンのカラテが高まるとその額から「英雄光」なる原理不明の光が放射されるのだが、フィンは最初から老いた終盤まで一度も英雄光が額に宿ることはなかったのである。

 

 時間切れ。

 

(ところが――その最期の戦いで、老境に入り、ディルムッドを謀殺するという最大のガッカリイベントを経た後であるにもかかわらず、フィンの額に英雄光が宿ったのである。それまでは、純然たる戦士だったクーフーリンとは異なり、責任ある立場であったせいか、戦士としてはクーフーリンほどじゃないような描かれ方だったのだ、最期の最期で戦闘者としてもクーフーリンに並んだ、ということなのであろう。なかなかエモじゃないの!!)