螺旋のモノリス~京都湯けむり殺人神父ラヴィニ―のドキ☆釘付け魅惑大胸筋~

小説書きでミニチュアゲーマーが何の生産性もない無益なことばかり延々とくっちゃべってるブログ

手伝ってやろうか? ――ただし、真っ二つだぞ。

 ヒィッツカラルドやロイ・マスタングの勇姿を見ているうちに、気がついたら指パッチンの練習をしている俺がいる。
 もうヤバい。なにかに憑かれたかのように一日中指パッチン。摩擦で指の皮が熱くなっても赤くなっても擦り切れても一心不乱に指パッチン。
 なぜそこまでするのか。
 バカヤロウ。
 愚問なり。
 真空波や炎を撃ち出すために決まっている。こんなこともわからないなんて最近の若い人は発想力が貧困ですね。かわいそう。
 といっても錬金術師ではない我々には炎を出すのは無理っぽいので、狙うなら真空波。
 アレだ。
 鳴らす際には半身になって腰を低く落とし、肘を前に突き出す構えを取る。これ重要。そして掌側を身体に向ける形で指パッチンの印型を形作る。このとき、押し付け合わせる親指と中指に全身の力を集中させ、その他の部位はほどよく脱力させよう。踏みしめられた足腰が大地からの反発力を引き上げ、弛緩した肉体は水のごとくに威力を上へと伝えてゆく。その過程で筋肉の構造が鋳型のような役割を果たし、伝播する力の流れを収斂し、高密度に凝縮してゆく。やがて指先へと力が到達した瞬間、肘、手首、指の諸関節すべてを滑らかに瞬発させ、前方に鞭のような裏拳を放つ心地で指を送り出す。肘が伸びきったその刹那、わずかに遊びを残した手首関節を跳ね上げる。同時に引き絞られた弓のごとくに力を宿した指を擦り合わせ、解放する。力と熱は相互に交換可能なものであり、指を鳴らすという行為は、体中を漲っていた力をいったん熱に変え、真空波など別の形での力に再変換する作業にほかならない。そうして生じた殺傷力を、腕のスナッピーな動きで前方に送り出すのである。
 これこそが指パッチンを戦力に変える闘術の根幹である。
 できない奴は気合不足ね。
 極限まで修練を積み重ねたヒィッツカラルドは、特に大地からの反発力に頼らずとも常に全身に力を循環させているため、上記のようなプロセスはほとんど省略し、舞うような動きで全方位に真空波を乱れ撃っていたものの、むろん我々がこのマネをするにはさらなる努力が必要なのは言うまでもない。(最後だけなぜか民明書房