螺旋のモノリス~京都湯けむり殺人神父ラヴィニ―のドキ☆釘付け魅惑大胸筋~

小説書きでミニチュアゲーマーが何の生産性もない無益なことばかり延々とくっちゃべってるブログ

意外と……面白い……!?

莫大なる血税を徴収して建築されたアシュバイィルは、
頑丈という言葉では力不足なほどに理不尽極まりない堅牢ぶりを誇っていた。
人夫たちが荷車を押し、己の上空を不浄なる鳴啼で満たす何かを見上げる。
鴉である。
増す増す曇天を黒く汚す、禍の先触れ。七本の脚を持つ、世界の歪み。


神よ、此岸ならざる此岸におわす神よ。
楔であるところの裁定者よ。
心も魂も冷えて死するお方よ。
夜毎に彼らをさしむけ、あなたは何を宣われたいのですか。
旋回と絶叫を繰り返す彼らに、いかなる言伝を与えたのですか。
五感は爛れ、
理想に触れる力も失い、
夢を打ち捨ててしまった我々は、もはやあなたの託宣を認識できないのです。
記述され得ぬ言語をもってあなたと心通わせる術は、
すべて薄く惨く積層する年月の深奥に、忘れ去られてしまいました。


パルギリオはそう詠嘆すると、アシュバイィルの一室から
外の様子を盗み見るのをやめた。
彼もまた、《教示者たる蟲鴉バトゥス》の御許に一度は跪いた者である。
強大なる指揮官としての神力は、今でも喪われてはいない。
転変を繰り返す戦場の相、それを読み、かつ兵卒一人一人の意識を自らの
心でつなぐ。一個の戦闘体として運用する絶技。
彼はしかし、そうした至尊なる階級でありながら、自らの部下に捕縛されていた。