柳生超チャラい!
『十兵衛両断』とか読みました。
こんな話を読みたかった……ッッ!
全五編の短編集で、将軍家剣術指南役であるところの柳生一門と、朝鮮の妖術師たちとの奇怪な暗闘が展開されます。
濃密で超カッコイイ戦闘描写と、奇想天外な超展開の連続に大興奮でゴザイマス。
とにかく全編通して描かれる柳生および朝鮮への、核融合を起こしそうなくらい濃縮された愛情! あまりの高濃度ぶりにボクは頭おかしくなりそうです。
その愛情は致命的に歪んでいます。とりあえず普通に歴史小説や時代小説が好きな人が読んだらキレるんじゃないでしょうか。
柳生剣士たちはどいつもこいつも超人的に強く、中には超イケメンの魔法剣士とかいます。
さらに「臨海八部衆」だの「七剣神」だの、どこの少年漫画だよと言いたくなる集団も登場してこれはひどい。(褒め言葉)
そして炸裂する朝鮮妖術! 頭のおかしい舞台装置として物語を引っ張り、掻き回し、求心させます。お前朝鮮妖術って言えば何しても良いと思ってるだろ。(褒め言葉)
明らかにフィクション以外の何者でもない、ラノベでもここまでやるのは稀だろ的トンデモ展開も、文中で「これは作者の創作ではない」と断りを入れ、その根拠となる文献を非常にリアリティあふれる筆致で解説するわけなのですが、調べてみたらその文献自体創作でした。
いいのかよッ!!
いいのです。
恐らく、「これは作者の創作ではない」とか言っているのは、この本の著者である荒山徹先生その人ではなく、荒山先生が創作した作中人物に過ぎず、その言動すべてが創作だったんだよ!! な、なんだってーっ!? ……というメタ的な屁理屈で逃げるものと思われます。
恥を知ったほうがいいと思います。(褒め言葉)