ケイネス先生の聖杯戦争第十六局面
さて、爆発の混乱と土煙が収まるまでにすべてを殺し尽くすなど到底不可能である。相手も同じサーヴァントなのだ。そのへんの雑兵とは格が違う。やがてヘタイロイの皆さんは槍を構え、ディルムッドの逃げ場を塞ぐであろう。そこへ大音声とともにイスカンダルはんが戦車で突っ込んでくる。蹂躙走法である。一瞬で挽肉に変えられかねない威力の対軍宝具であり、これはもうディルムッド万事休すか!! と、その時、唐突に戦車の疾走が止まる。驚愕と衝撃を表情を見せるイスカンダルはん。なにが起こったのか! おぉ、見よ! ディルムッドの胸元に、なんか括りつけられているではないか!! それは――黄金に輝く小聖杯ではないのか!? ……俺がここまで執拗に小聖杯の確保にこだわってきた理由はここにある。イスカンダルはんは世界征服を成す前に、聖杯の力で受肉する必要がある。聖杯は必要不可欠であり、間違っても破壊などしてはならない。ディルムッドの胸元に括りつけられた小聖杯は、相手の広範囲大火力攻撃を
時間切れ。
(封じるための狡猾な防壁と化すのだ!!)