ケイネス先生の聖杯戦争第二十六局面
そうだ、決戦場を設定する前に、ひとつ重大なリスクについて話しておかねばならないだろう。愉悦神父の父の言峰璃正である。彼は過去の聖杯戦争において未使用のまま終わった令呪をすべて保持しており、必要に応じて参加者に譲渡する権限を与えられている。そして彼は遠坂時臣と協力関係にある。追い詰められてにっちもさっちもいかなくなった時臣が、なりふり構わず令呪の譲渡を璃正に求める可能性について考えなくてはならない。ただ――現状において時臣が事態を正しく把握している可能性は低い。情報戦の要たるアサシン陣営が最初期にいきなり脱落したためだ。そしてなぜいきなり綺礼が死んだのか、時臣はまったく把握できないことだろう。ゆえに、これまでのサーヴァントの脱落すべてにランサー陣営が関わっているなどと想像することもできず、なかんずくバーサーカー陣営と強固な同盟を築いていることすら知らない可能性がある。まぁ、使い魔くらいは飛ばしているだろうから、何の情報もないということはないだろうが、事態の把握度合いにおいてランサー・バーサーカー同盟はアーチャー陣営に大きくリードしていると言える。
時間切れ。
(ただ、悪いことにこちらもアーチャーの戦力について理解が十分ではないと言わざるを得ない。ゲートオブバビロンは雁夜おじさんからの証言でおぼろげに性能は把握できるだろうが、最も警戒すべきエヌマ・エリシュがノーマークなのは痛い)