螺旋のモノリス~京都湯けむり殺人神父ラヴィニ―のドキ☆釘付け魅惑大胸筋~

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ケイネス先生の聖杯戦争第五十二局面

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 にわかに殺気だちはじめる両者の間にケイネス先生は「まあまあまあ」と割って入る。二人の言い分を聞き、魔術師たる先生はすぐに時臣の行いの正当性を認める。「落ち着いて聞き給え雁夜。間桐桜は世にも稀な虚数属性を持ち、もはや一般人として生きるという道を最初から完全に閉ざされている。ホルマリン漬けか、頓死か、その二択でしかありえなかった。あの少女が天寿を全うするためにはこうするよりほかになかったのだよ」さすがに大恩あるケイネス先生の言葉には耳を傾ける雁夜おじさんだったが、やはり納得しがたい様子であった。そらそうですわな。幼児の性的虐待を容認しろと言っているようなものですわ。「では今後は君が間桐家を背負い、あの少女を庇護したまえ。それで良かろう」「無理だ……」雁夜おじさんの表情は暗い。「俺は間桐の魔術刻印を継承していない。それに、この身はあとひと月ほどしかもたない。あの子の将来を守ってやれない」「ちょっと待て、どういうことかね」横から時臣が割って入る。「臓硯どのはどうした。彼がいるだろう」「間桐家は私が潰した」冷然と先生は応える。「バーサーカーをうまく運用するために、あの老人には犠牲になってもらった。無論、生かすつもりはない」「なんということを! 桜はどうなる!」その必死の形相に、雁夜おじさんは目を見開いた。一方ケイネス先生は鼻を鳴らす。「一体私は何について責められているのだ? 魔術師同士の殺し合いを始めたのは誰だ? 私はお前たちの定めたルールに則って徹底的にやらせてもらっただけだ。少なくとも道義の上で御三家に私を責める資格があるとは思えんな」息をつく先生。「……間桐桜の今後については聖杯をどうにかした後で考えるとしよう。少なくとも私はあの子供をホルマリン漬けにしようとは考えていないし、魔術協会にチクる気もない」そして立ち上がる。「さっさと教会に行くぞ。ここで言い争っている一分一秒が惜しい」