螺旋のモノリス~京都湯けむり殺人神父ラヴィニ―のドキ☆釘付け魅惑大胸筋~

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ケイネス先生の聖杯戦争第五十三局面

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 さて、心労と激務でかなりやつれてしまった璃正氏に事情を話し、ケイネス先生と雁夜おじさんはありったけの預託令呪を受け取った。その数は、恐らく十~十五の間であろうと思われる。原作の切嗣対綺礼の記述を見るに、最低十画はあったことは確実だ。とりあえず十二画と仮定して、それぞれ六画ずつ受け取った。そして一行は浸食され、大穴と化した柳洞寺の前に立った。実体化したディルムッドが、ほとんどミイラ化したダルマ臓硯を小脇に抱えている。「さて雁夜。君にはきつい話だが、バーサーカーの魔力のパスをもとに戻す必要がある」「な、何故だ?」「大聖杯を破壊すれば、私のランサーもまた、この世を去ることになる。そうなればゲイボウによって阻害されていた臓硯の肉体再生が始まってしまう。ゆえに今この場で臓硯には後腐れなく死んでもらう。そのあとバーサーカーに大聖杯を破壊してもらわねばならないので、君が魔力を負担する他ない」それを聞いて臓硯は見苦しくもがくが、無論ディルムッドはがっちりと離さなかった。「……わかった。そういうことならやってくれ」特殊変則契約が解除され、雁夜おじさんの顔に苦悶が走る。「ぐ、ぅ……! ランサー、貸して、くれ……俺がやる……ッ!」「雁夜どの……」全身を痙攣させながら、四肢を失いやせ細った老人を受け取ると、雁夜おじさんはゆっくりと大穴のふちに向かった。「怖いか? あぁ? 臓硯? 命乞いでもしているのか? そうやって許しを乞う相手に、お前は一度でも慈悲をかけてやったことがあるか? 桜が泣き叫ぶさまを見るのは愉しかったか? 地獄で苦しめ外道ッッ!!」渾身の力で、聖杯の泥へと矮躯を投じた。落下。着水。しなびた体は燃え上がり、のたうち回りながら暗黒の粘液の中に沈んでいった。誰一人同情する者はいなかった。刻印虫がもたらす苦痛も忘れ、雁夜おじさんは陶然とその眺めに見入った。