螺旋のモノリス~京都湯けむり殺人神父ラヴィニ―のドキ☆釘付け魅惑大胸筋~

小説書きでミニチュアゲーマーが何の生産性もない無益なことばかり延々とくっちゃべってるブログ

ハンター。姓でも名でもない、明らかな偽名

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 思い出したかのように『マルドゥック・アノニマス』第三巻を読み進める。ハンター氏、どうやらウフコックの存在に気付いてないっぽい。よかった!! そして無敵と思われたハンターも、思惑を外すこともあるし裏をかかれることもあるのだということが描かれた。しかし。しかしそれでもこの男は揺らがず、決然と対策を進めてゆくのである。むしろこの苦境にさらされることで、ハンターという男の底知れなさがさらに浮き彫りになってきたような気がする。しかし――いったいこいつは何者なのか? ハンター以外の登場人物たちは、皆それぞれ過去を持ち、その結果として現在がある存在として描かれるが、ただ一人ハンターだけは過去どんな人物だったのか、現在の冷静さ、不屈さはどのようにして醸成されていったものなのか、一切わからないのである。彼が頼みとする自身のエンハンス能力とて、後天的に、しかも強制的に植え付けられたもののはずであり、それ以前の彼の人格とはまったく関わりのないものなのである。そして――描かれないだけでなく、想像すらできないのだ。彼は誰なのか? 何を生業としていたのか? 幼少期は? 家族関係は?

 

 時間切れ。

 

(どのような過去を想像したとしても、そこには違和感しかないのである。これほど緻密に心理を描かれながら、その過去がまったく想像すらできないという点で、非常に特異なキャラクターである)