別の何かを表現するためのメタファーとしてじゃなく、「ゲームと」向き合えよと思った
あぁ、伸びない……。で、えー、なんだっけ、『スタートボタンを押してください』だよ。本作でめっちゃモヤモヤしたのが、どれひとつとして「ポジティブにゲームを楽しむ主人公」が出てこないのである。なんか金のためにオンラインゲームをやったり、なんか不条理な危機に見舞われて、それから逃れるためにはゲームをやるしかない、とか。なんかこう、誰もゲームを楽しんでいないのである。そうじゃないだろう。
「ゲームが! 遊びが! 『何かのための手段』であってたまるかってんだよッッ!!!!」
ですよ。なんでそんなお前、ゲームSFアンソロジーなのにゲームをネガティブに捉える作品ばっかなのよ。しかしちょっと待ってほしい。お前、バス停4部だって敵を倒すための手段として『フェイタルウィザード』をプレイしてたよな? お前そんな体たらくで本作をディスれるの? おん? いやまぁ、それはそうなのだが、バス停四部は「ゲームを手段に貶める敵に対して、そのゲームを純粋に楽しんでる攻牙がゲームで勝つ」という構造があり、全体としてゲーム賛歌になっているはずである。本作にはそれがない。誰も「面白いゲームを遊んで楽しい!」という純粋な感動を描かないのだ。どこか不健全で、本来あるべきでないものとしてしか描かれない。この作者たちは本当にゲームが好きなのだろうか。
時間切れ。
(あとオチてない作品がやたら多い。起承転結で言うところの承あたりまで行って、「ふむふむ、状況は提示されたな。これを踏まえたうえでこれからどんなドラマが展開されるのかな?」と思った瞬間に唐突に終わる作品が少なくとも三つあった。すごくモヤモヤする)