螺旋のモノリス~京都湯けむり殺人神父ラヴィニ―のドキ☆釘付け魅惑大胸筋~

小説書きでミニチュアゲーマーが何の生産性もない無益なことばかり延々とくっちゃべってるブログ

文字数から全力で目をそらしながら

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よかったら夢枕獏初心者に何から読むのがおすすめか教えてください。

  なんつっても『上弦の月を喰べる獅子』でしょう。「空前絶後の物語」という背表紙の煽り文句がまったくウソ偽りなく本当にその通りなのが恐ろしい。かの天才作家・冲方丁先生が、何を書いてもこの物語の影響から逃れられないのでそのうち発狂して本を燃やすことでようやく呪縛を脱した、という壮絶な過去を吐露させるほどの曰くつき魔書。それから『獅子の門』も外せまい。俺の中で格闘小説と言ったらこれが不動の絶点である。なんかもう、こんな戦いの描写がありうるのかと愕然とする。中毒性の高さは夢枕中トップであり、つまりこの世の頂点。読む麻薬。そして『神々の山嶺』も最優先で読みたい。「この世でただ一つの場所」エベレスト山頂。そこは半ば以上、宇宙の領域に属する場所であり、人の身で至ること許されぬ聖域である。そこへ挑まんとする男たちの、結晶のように透明な狂気と哀切が胸を刺し貫き、SAN値を下げまくる。こいつらは狂っている。狂っていながら、読んだ者に「あぁ、俺も極寒の崖でビバークして凍傷で指とかポロポロ落としながら泣きたくなるほど透明な星を見上げて一夜を過ごし凍死したいなぁ」とか痛烈に思わせてくる。それはなんと甘美な死に方であることか。なんと幸福な終わりであることか。

 

 時間切れ。

 

(他にも『キマイラ』とか『大帝の剣』とか『荒野に獣、慟哭す』とか『月に呼ばれて海より如来る』とかいろいろあるが、まぁあえて選ぶなら本文の三つですか)