だからそんな複雑な事情を説明する尺がねえっつってんだろ!!!!
「父は、ずっと母やわたしには豪放磊落な顔しか見せませんでした。よく笑い、よく人を褒め、ギデオンどのと並ぶほどの武勇を持ちながらそれを鼻にかけず、いつもしょうもないことを言っては母を苦笑いさせている。そんな父でした」
「確か、リーネどのはシャロン殿下の入滅後に生まれたのだったか。」
「はい。つまり、わたしの知る父は、最初から胸の奥に苦しい気持ちを抱えていたということですね。いつも、いつも、本当の顔など見せてはくれていなかったということですね……」胸で何かが塞がって、苦しい。目尻が熱くなる。
フィンどのには重い代償を背負わせ、父からは一度も本音では接してもらえなかった。
寂しく、惨めだった。「リーネどの。」
ぽん、と頭に彼の手の平が置かれた。
「これでも数週間ほど、リーネどのの人品は見させて頂いた。そのうえで断言するが、御父君があなたを愛していなかったなどというのは決してありえないことだ。」
「そう、でしょうか……」
「よほど捻くれた人物でもない限り、あなたを愛さずにいることは不可能であろう。あなたがいたからこそ、御父君はシャロン殿下の自死を止められなかった自責に耐え、生きることができたのだと、小生は確信しておる。」
うぬーん、進まなかった。これで、総十郎がパーフェクトイケメンムーヴをキメてリーネに自分の弱さを自覚させ、受け入れさせる流れを入れて、畳んでしまって良いのではないだろうか。え? 三幕構成はどうなったんだよ!!!! というかバトルシーンを入れるという大目的はどうなったんだよ!!!! いや……ゆうてももう五千字に到達しそうな勢いやし……あんま長くても、ねえ? と思って今計測してみたら3900字くらいに達していた。あと千字で終わらせねばならない。バトってる暇がないわ!!!! ではここでいつものように、リーネ氏の「自分は無価値なのではないか」というテーゼを成り立たせる前提を総十郎が否定し、立ち直ってもらわねばならない。前提とは何か。フィンが寿命を捧げたことと、父親に捨てられたことだ。自分が弱いからフィンの寿命が十年削れたと思っているが、そうではない。あなたが愛すべき人だったからだ。とか、そんなような歯の浮くようなことを言わせるのか? で、親父案件は? また記憶流入が起こって、なんか前向きな理由で帝国に行ったことが判明する、と? だからその前向きな理由ってなんだよ!!!! そこでリーネのかーちゃんが登場ですよ。あんたにはそろそろ話しておかないとね、となって、真実が語られるとか?
時間切れ。
(そんな尺はねえよ!!!! うーん、うーん、リーネの体には実は不具合があって、〈異薔薇の姫君〉の権能を自身の感覚として身に着ければ命に別状はないんだけど、ほっとくと死ぬかも、みたいなやつで、だからアーブラスは急いでリーネにレガリアを継承させた? で、今は帝国でその不具合を根治する方法を探している?)