ところで筋トレを始めました（ニートあるある）

　こいつは、なんとまっすぐな剣理を振るうのだろう。
　背負ったものが違う。受け止めてきた感情のケタが違う。俺より遥かに多くの者たちの想いを抱きしめ、それを昇華している。

　――オレも、背負うよ。

　もう、遅いかもしれないけれど。
　殺してきたすべての奴らから、何をいまさらと嘲笑われそうだけど。
　それでも、背負うよ。
　殴り殺し、捻り殺し、焼き殺し、斬り殺し、刺し殺し、縊り殺し、踏み殺し、食い殺してきた、すべての命の、すべての想い。これまで打ち捨ててきた、宝石のようにキレイなその欠片のひとつひとつ。
　拾い集めて、背負うよ。
　それが、マジに殺すということだから。

　――オレも、お前のいるところに行くよ。

　でな、そろそろそろそろ、夢枕パートを終わらせて、虚淵玄パートに行くべきじゃないの？　おん？　と思って『FATE/ZERO』最終巻の切嗣VS綺礼を読み返すわけであるが、なんだ、心理描写ほっとんどないのな。この戦い、ひたすらに意外な展開がジャブみたいなノリで乱打されてくる戦いであり、ある意味『獅子の門』とは対極に位置すると言ってもいい。戦いの最中、両者の両者に対する感情はほとんど描かれない。一方で、『獅子の門』は基本的にクソデカ感情の描写が戦いのメインとなっている。必要なものしかない戦いと、あまりにも豪華すぎて頭がおかしくなる戦い。どちらもマスターしたくはある。ところで、切嗣VS綺礼は、両者とも「アヴァロン」と「預託令呪」という規格外の外付け戦闘ツールを有しての戦いであったが、当然ながらこれらは彼ら自身の力とはいいがたい。よってこれらがどちらもなかった場合、どっちが勝つのであろうか。……状況による、としか言いようがない。劇中であったような間合いで戦いが始まるなら愉悦神父の優位は否めない。奴にとって切嗣は「めっちゃ射撃が上手くて二倍速や、瞬間的には三倍速で行動する常人」でしかない。十分に余裕をもって対処は可能であろう。

　時間切れ。

（ただしトンプソン・コンテンダーだけは有効な防御も回避も難しいため、切嗣にもワンチャンはある。狙撃すれば余裕では？　というツッコミはナンセンスだ。本編でもそれができるならとっくにしていたはずである。戦闘距離外で相手を先に捕捉したり、相手に捕捉されない立ち回りにおいても愉悦神父は切嗣を越えていたと思う。そもそも八極拳が意味を成す間合いで一対一の決闘が成立してしまった時点で、切嗣は戦略的には決定的に負けている）