宇宙を貫く偽善者だ
『プロメア』がプライムビデオで見れるようになったので早速見るわけですよ。やはりスゴイ。凄まじい。俺がここ数年で一番強い印象を受けた作品であろう。まぁ俺はアニメの評価としては戦闘シーンの出来が八割で、その他が二割ってとこなんですけど本作は残り二割も隙なくスゴイのでもうどうしようもない。やっぱクレイ・フォーサイトがねぇ、最高ですねあいつは。顔芸も強さも自己中ぶりも悪逆さも、そのくせ実際の行動としてはわりと合理的に人類を救おうとしているところも、実に味わい深い。まぁ一か八かの博打に出れば、すべての人類を救える可能性もないことはなかったが、それは選ばなかったところが、なにかこう、他の敵役にはない味わいがある。どういうことか。クレイ氏の中に尊敬できるような、自己犠牲的な崇高な思いはひとかけらもないのである。だけど彼の推し進める人類種存続プランはわりと一定の筋が通っている。こんな重要な計画に博打めいた要素など噛ませるわけにはいかないというのはぐうの音も出ない正論である。だけどその正論は、ひとかけらも英雄的ではない。やってきたことの悪逆さも含めて、そこを突っ込まれたら普通の偽善者は己の主張の矛盾に揺らぐはずだ。
時間切れ。
(だが彼は揺らがず、恥じず、悔いない。並の偽善者ではない。並の偽善者は自分が気持ちよくなるために自分を騙すが、彼はたぶん一切自分を騙していない)