正直表紙で食わず嫌いしていたが、読んでよかった
あー、『天体の回転について』読み終わった。さすがに小林泰三作品は俺に刺さり過ぎるので一日で読了できてしまうのである。まぁしかし、表題作は世界設定の提示だけで終わっているようなところがあり、なんかこう、なんかだった。そもそも「妖怪」とは何なのだ? まず主人公は「この旅で妖怪と彼女以外に会っていない。つまり生身の、本物の人間に会っていない」みたいなことを考えていたので、「妖怪」たちはもう見てくれからして人間とは異なる存在であるように思える。が、しかし「妖怪の森」の描写は明らかに文明化された地球人類の街のように思えるし、そこを、例えばロボットが暮らしていたとしても人間とはまったく異なるライフサイクルになっているはずである。あるいは、対人用インターフェースとして、人間にある程度近い外見と行動様式を持つが、まぁちょっと見ればロボットだとわかる感じの存在であろうか? 人類と共に暮らすことを主眼にしているので、人間と同じタイムスケジュールで稼働していると? しかしそうであるなら、なぜ人類と「妖怪」は分かたれてしまったのか? 先人の叡智の結晶が問題なく稼働しているにもかかわらず、人類に大規模な技術の失伝が起こっているのは何故だ?
時間切れ。
(そしてなぜ「妖怪」たちは主人公を受け入れ、宇宙旅行に送り出し、しかも心配そうな顔をしていたのか? 諸々の疑問が何も解決しないまま終わってしまった……)