螺旋のモノリス~京都湯けむり殺人神父ラヴィニ―のドキ☆釘付け魅惑大胸筋~

小説書きでミニチュアゲーマーが何の生産性もない無益なことばかり延々とくっちゃべってるブログ

ホォーウ!

「怒りを胸に沈めてはならぬ。怒りは両足に込めて、己を支える礎とせよ」
覚悟のススメ山口貴由
荒廃した未来の東京を舞台に、強化外骨格と呼ばれる鎧を着装する主人公が、異形の鬼たちと死闘を繰り広げるバトル漫画である。熱い。とにかく熱い。力持たぬ人々のために戦うこと。友のために身を呈すること。最近では「泥臭い」とか「偽善」とか嘲笑されがちなこれらの行いが、これほどまでにカッコイイことだったとは! ラストまで読み終えた感想は、「感動」の一言につきる。バトル描写も逸品で、「おぉ、なるほど!」と思える奇抜な戦法で並みいる強敵を次々と撃破であり、非常に燃え。あと、カウンター技を「因果」と呼称するセンスとかカッコイイ。ラストバトルなどは、静と動の演出が効果的に機能し、神々しいまでに美しく、壮絶だ。作品全体の雰囲気は独特、というか奇形である。人物や風景の絵柄は漫画らしくデフォルメされているものの、内臓の質感だけが妙にリアルだ。敵であるところの『戦術鬼』たちは、どいつもこいつも人間の汚い部分を極端に誇張した醜悪な戯画のような姿をしている。美形な人物も登場するが、そもそも女性読者が喜ぶような絵柄ではないのでそっちの人気も期待できまい。あとなんか全体的にホモ臭い。敵アジトに乗り込んだ主人公を、悪の大ボス(男)が、教会みたいな部屋でウェディングドレスを纏いながら待ち受けているる漫画なんて、これぐらいのものであろう(しかもギャグ風に描かれているわけでもない!)。ついでに言うと登場人物たちの台詞一つ一つが妙に右に傾いており、えもいわれぬ軍国テイストを醸し出している。総じて、一体どういう客層を狙って描かれている作品なのかサッパリわからないのだが、慣れてくるとそんな奇怪な要素ですら味に思えてくる。きっと作者が魂の赴くままペンを走らせた結果なのだろう。どこか古風で歌舞伎のような台詞回しもピタリとはまり込んでおり、名言の数々には痺れること請け合い。男児であれば読むべし! 女児も、まぁ、なるべく読むべし!