「そもそもありゃなんだ? いつからある? なんで動いてる?」
また本作の設定のユニークな部分として、インターネットをなんだかよくわからない神秘的なオカルト領域として捉えている点にある。まぁ、忍殺世界のインターネットは、少なくとも西暦2000年までは、我々の知るものとなんら変わらぬ存在だったのだが、Y2K(いわゆる2000年問題)を契機に、何かよくわからない世界と接続した、くさい。そして、Y2K問題に対して有効な対策をほとんど何も打てなかった世界が忍殺なのである。結果、インターネット上に蓄積されてきた膨大な知識が散逸し、テクノロジーの大規模な失伝が起こった。そしてY2K以前の科学知識が神聖視され、インターネットとそれに混じった異世界を崇拝するカルト思想が大なり小なり登場人物たちの間に共通して蔓延しているのだ。奇妙な設定である。この「テクノロジーの神聖視」という要素が、ウォーハンマー40Kなどでもあったりして衝撃を受けたものだが、叡智の結晶であったはずのものが中世的迷妄の信仰対象となるねじれ構造が個人的に魅力的だ
時間切れ。
(その後、有限の資源であるIPアドレスをめぐって「電子戦争」なるものが起こり、事態が決定的に悪化したらしいが、具体的に何が起こったのかは不明)