ただ生きようとする、あなたより先に泣きそうで
そもそも「生きるとは醜く、救いがない」という主張には、無意識のうちに「生きることは義務である」という前提が含まれているように思う。生きるということはとうてい肯定できるものではないが、しかし俺たちは生きる以外にどうしようもない。だから救いがない。――そういう葛藤を前提として、本作の悲劇、惨劇、絶望は織りなされているのだ。しかし――「そんな、まるで義務みたいに……」。この発言は『仮面ライダーアマゾンズ』という物語の、最も根本的な前提をひっくりかえす、極めて致命的な発言であったと思う。義務ではないのだとしたら、今まで描かれてきたものはすべて体重を喪う。「生きることは醜い? じゃあ死ねばいんじゃないスかね?」という、鼻をほじりながらなされたとしか思えないようなてっきとーな反駁が成立してしまうのだ。なんたる強烈なアンチテーゼなのか。さすがは完結編だ。この前提否定に対し、いったいどのような答えを出すというのか。俺は固唾をのんで視ていた。しかし――これを発言した家畜アマゾンたちは、後半実にあっさりと前言を撤回し、生きるために脱走してしまうのだ。
時間切れ。
(え、ちょ、待ってよ君たち、ってなった)