螺旋のモノリス~京都湯けむり殺人神父ラヴィニ―のドキ☆釘付け魅惑大胸筋~

小説書きでミニチュアゲーマーが何の生産性もない無益なことばかり延々とくっちゃべってるブログ

どうしよう

 烈火は目の中に飛び込んできた異物感と痛みに、思わず瞼を閉じた。

「うげぇ!!!!」

 砕け散り、散乱した、微細な欠片。
 散弾銃のごとき速度と散布角を持って迫りくるそれらは、もちろん世紀末伝承者の肉体に何らダメージを与えるものではない。
 だが、目の中に入れば、痛い。思わず目を閉じ、声を上げ、瞼を抑え――

 ――呼吸を乱し、泰斗光衡鋼甲功が解除されてしまう程度には。

 結論から先に言うと、直後に繰り出された三条の紅い閃光は烈火の脇と肩と左腕の肉を引き裂き、斬り進み――骨に激突して止まった。
 鮮血が、吹き上がる。
 烈火の口から噛み潰した呻きが漏れる。
 こめかみに血管が浮かび上がる。

黒神!」

 すでにアゴスの攻撃射程内に踏み込んでいた総十郎とギデオンだが、残る三つの大神鎌が暴風のごとく世界を八つ裂きにし、その回避で手一杯のようだった。
 というか、砕け散った神統器(レガリア)が一瞬で元に戻っている。そういうものらしい。眼の中の鋭い異物感も消えている。

「あァ? ロリコンテメーなに心配げな声だしてんだよボケコラカスコラァ……ナメてんじゃねーぞこの超天才がこの程度でくたばるとでもまーさか思ってんじゃねーだろうなボケェ!!!!」

 ギラリと凶悪な笑みで口の端が歪む。

「鎌の動きを封じろだぁ……? 余裕なんだよんなもんはよぉ!!!!」

 闘気をひっこめる。呼吸を深める。己の肉体の中に刃を埋めたまま、烈火は「コォォォォ……」と波紋ぽく息をする。
 体内でなんか血中カラテ的な、チャクラ的な、なんかそうゆうアレがぎゅるぎゅるぎゅるぎゅる巡り、世紀末筋肉を世紀末膨張させてゆく。
 そして、爆発。闘気が全開放射され、稲妻が烈火の全身に絡みつく。
 見る間にただでさえデカかった烈火の肉体がブロリーじみて膨張。肉体に斬り込んだアゴスの刃を、その圧倒的肉密度で加え込み、固定した。
 三振りが、封じられた。

 ●

「顕正――桔梗印。」

 腕を一閃させて呪符を飛ばし、太玉命(ふとだまのみこと)謹製の注連縄が五芒星の形に展開。

「緩くとも、よもやゆるさず、縛り縄。不動の心、あるに限らん。」

 即座に襲い来る大神鎌の一閃は――ギデオンが進み出て、音もなく受け止めた。
 〈黒き宿命の吟じ手(カースシンガー)〉。その権能の具現。

「吽(オン)・枳利枳利(キリキリ)・吽発咤(ウンハッタ)。」

 両手を複雑に組み合わせて印を切り、止縛法が発動。

 なんか描写ではなく、味気ない説明になっとるなー。まぁ、止縛法はすでに出てきた手管なので、そんな力を込めて描く必要はないと思うが。しかし止縛法でアゴスの腕は止まるのか? あのー、総十郎の呪術は、なんかこう効果を定量的に計測できないものとして描きたい思いがある。あのー、止縛法に使う太玉命の注連縄の耐久値が千で、ここに千以上のSTR値をもって抵抗判定をすれば引き千切れるとか、そういうものではないのだ。STRがいくら高かろうが止縛法は破れない。そうゆう概念だ。であるならば――別に腕の一本に限定せずとも、アゴスの全身を封じればいいんじゃないの? おん? どうなんだバール氏? こっち向けよバール氏? ここで、アゴス全体はデカすぎて無理、となると、つまり効果対象に定量的な概念を適用してしまっているような気がするのである。サイズ値で抵抗可能ってことじゃねーか!!!! うーん、つまりこれは、アゴスを封じているのではなく、ワールドイーターを封じていると考えてはどうだろうか。つまり、止縛法は「神」を封ずるのに特化した呪術なんですよ。太玉命の注連縄は、アマテラスを天岩戸に封じた伝説の逸品であるからな。

 

 時間切れ。

 

(血の神アゴスを「神」認定すべきかという問題だが、恐らく神ではない、と思う。しかしそもそも神の定義ってなんだよ。なんかすげえ力持ってれば神じゃないの??? 神話とか知るほどそう思う。やばい。問題を解決しようとして次から次へと問題が生じている。オッカムの剃刀の呪縛……!)

「こう」の数あってんのか数えてない

 ――泰斗光衡鋼甲功(たいとこうこうこうこうこう)。

 黒神烈火が為していたことは、実に単純である。なんかすごい呼吸法で肉体をオリハルコン的な強度に変えさしめる感じの奥義であった。
 原理不明!!!!
 そして――この技の使用を即座に判断させるほどまでに、血の神アゴスが放つ閃撃には致命的なものを感じ猿を得なかった。

 ――まともに喰らったら死ぬ。まじで。

 架空侵食の理の中で、トウマに動きを止められ、ギデオンに刺殺されそうになったときと同様のものを感じていた。
 喰らったら、死ぬ。
 そのリアルな肌感覚。
 元の世界では一度も感じたことのないもの。

「だァからなんだっつーんだよコラァッ!!!!」

 黒神烈火にその種の怯懦はない。『もひかん☆えくすぷろーど』は己の弱さに揺れる心理描写――などというまどろっこしいものをまったく重視しない作品であったから。北斗パロとおっぱいだけで食ってく気マンマンのクッソ意識の低い漫画だったから。
 爆速で殴り掛かる。フィンの銀糸で編まれた足場がたわみ、トランポリンのごとく烈火の体を射出する。
 瞬間。
 烈火は目の中に飛び込んできた異物感と痛みに、思わず瞼を閉じた。

 あ? これだけ? ナメてんの? ねえナメてんの? いや……今日はその、シロガネのヘッダー画像に使うカラーイラストをさ、あのー、noteの下書きに張り付けて公開時のことを妄想してウェヒヒヒと笑うという極めて高度な知的遊戯に耽溺しようとしていたらさ、なんかヘッダー画像が画質悪くなってんの。なぜにホワイ? と思って、記事内部にまったく同じ画像を張り付けたら、面積はヘッダー画像とまったく同じであるにもかかわらず、なぜがこっちはクリアな画質なのである。なぜにホワイ??? というわけで調べてみた。わかった。カラーイラストにタイトルロゴを入れる際、俺はこちらのサイトを活用したわけであるが、文字付画像を作成する一番最初に、画像の横幅を決める項目があった。初期値ではそこの1000pxが入力されていたのだが、俺は深く考えずそのまま次のステップに移っていたわけであるが、これがよくなかった。noteのヘッダー画像で推奨される画像の横幅は1280pxなのである。微妙に推奨サイズより縮小されたものを俺はアップロードしていたのだ。それで、なんか、原理はよくわかんないけど、画質が悪くなっていたわけだ。というわけで今日は、1280pxのタイトル画像を改めて作成していたのである。

 

 時間切れ。

 

(だから書く量が少なくても仕方がない。俺は悪くない。悪いのはろくすっぽ調べもせずに1000pxで画像を作った過去の俺である。文句は過去の俺に言うべきであって、現在の俺を責めるのはまったくもってお門違いである。わかりましたか)

きっと読者的にはどうでもいいであろう設定矛盾に延々と悩むマン

 〈終末の咆哮(ワールドイーター)〉の切っ先が幾度もその体を捉え、幾度も彼方まで打ち飛ばしているにも関わらず、両断も圧壊もせず、心折れることなく、雄叫びを上げながら吶喊してくる。
 それは、なんと幸福なことだろう。
 もはやヴォルダガッダの中に怒りも憎しみもない。ただ、この場に自分がいること、殺せるものがそばにいること、即座に殺せること、なかなか殺せぬこと、その対立のすべて、そこに至りし前提を形成する因果のすべて――余さず肯定していた。感謝していた。
 ただ、愛(サツイ)を返し続けるだけだ。
 とはいえ、ただ漫然と大神鎌の刃を叩き込み続けるだけではいけない。[それは誠実ではない]。殺せないことすらも肯定するが、だからといって殺すための創意工夫を惜しんではいけない。それは真の愛ではない。愛するポーズをとっているだけだ。
 煉獄滅理の法を〈終末の咆哮(ワールドイーター)〉に漲らせ、血の神は奇策の挙に出る。
 生前はそうこうことをほとんど重視せず、むしろ嫌悪すらしていたが、圧倒的に力が増した今においては、殺すために最善を尽くさないことにこそ嫌悪を感じるようになっていた。
 三振りの神統器を振りかぶり、振りかぶり――背中で三つの刃先を触れあわせる。
 残る三振りは依然として蠅の肉体を打ち飛ばし続けている。
 触れあった三つの刃は、そこでひとつの相克を形成する。

 ――神統器(レガリア)は、不滅である。

 だがそれは、[不壊であることを意味しない]。
 この世界の歴史に現れた、ありとあらゆる神統器(レガリア)所有者を圧倒的に引き離して、誰よりも深く強く〈終末の咆哮(ワールドイーター)〉と繋がったヴォルダガッダは、その事実を分かっていた。
 同じ神統器(レガリア)同士ならば、傷つけることも、砕くこともできるのだ。
 ゆえに。
 打ち交わされた三つの刃先は、それぞれに小さな傷をつけていた。煉獄滅理を宿した刃は、頑健さよりも攻撃性に特化する存在へと変異していたから。
 それらを、繰り出す。
 アゴスの巨体の周囲を紅い三筋の流星が凄惨な弧を描いて飛び――その斬撃弧の途上で砕け散った。
 ヴォルダガッダの得た悟り。殺し合いの途中で逃げる奴を認めない。その法の具現。交錯の際につけられたわずかなひっかき傷は、斬撃の動作にともなって葉脈のごとく全方位に罅を拡げ、やがて砕け散った。
 神代の秘跡が、無数の散弾と化して蠅に降り注いだ。

 思うに、QTEは難し過ぎるとダメなんだと思う。あれはあくまで「ムービーへの没入感を高めるためのスパイス」として運用さるべきもので、「ゲームの一要素」ではないのだ。ゲーム部分は高難度でも良いが、大ボスへの止めのQTEは簡単なものであるべきだと思う。そこで失敗したらテンションがた落ちやしな。いやそんなことはどうでもいいんだ。無数の散弾が烈火に降り注いで? それがなんなの? 万全の刃でも両断できなかった相手を、そんな散弾なんかでどうにかできるの? いや、これは烈火の視覚を封じる策である。微細なワールドイーターの破片が目の中に入ったりすれば「うげぇ!!!!」ってなることは疑いようがないからな。ほんで? それから? 動きが止まってしまった烈火に対してなにをすれば致命打になりうるのか。しかし考えてみると、生前のヴォルさんですら烈火に小パン程度の手傷を負わせることはできたのである。ならばアゴスとなった今ならばすでにここまでの攻防で烈火にそれなりの傷を負わせてないとおかしくない? それで吹っ飛ばした際に煉獄滅理が発動してとうに五体バラバラにできてないとおかしくない?

 

 時間切れ。

 

(ただ、これは烈火のギャグ系主人公補正で無効化――いや、されねえよ! 歪律領域の法は補正の影響を受けねえよ!! あれ? そうなるとおかしない? これを説明するには、なぜ烈火はここまでで一切傷を負っていないかの説明が必要にならない?)

そういや2までしかやってねえな……あと『落日の悲壮曲』か

 二人の男の背中を成すすべなく見送るしかない。トウマも、フィンも、アゴスの斬撃に対応できないのだ。総十郎、ギデオン、烈火とは、生きている時間が異なる。
 トウマは、唇を噛んだ。

「フィンくん」
「はい」
「悔しいね」
「……はいっ!」

 ●

 ヴォルダガッダ・ヴァズダガメスは満腔に満ちる万物万象への感謝と敬意を乗せて、鏖殺の刃を振るう。
 それだけが愛だったから。

『……アぁ……』

 巨塔のごとき腕を暴風のごとく旋回させ、まとわりついてくるちっぽけな人影を撃ち落とす。真竜(ドラゴン)ですら容易く両断する極限の斬撃を、今のヴォルダガッダは蠅を追い払うような気楽さで振るっている。
 そして――この蠅は死なない。

『……死ナないでくれテ……アりがトう……』
「殺す!!!!」

 〈終末の咆哮(ワールドイーター)〉の切っ先が幾度もその体を捉え、幾度も彼方まで打ち飛ばしているにも関わらず、両断も圧壊もせず、心折れることなく、雄叫びを上げながら吶喊してくる。

 困ったら視点変更。よくやる手口だ。そしてそれでだいたいうまくいってきた。しかし、その、なんだ、ヴォルさんさっきから芸もなくワールドイーター振り回すだけで、ラスボスとしてどうなのよ? もうちょっとこう、新たな攻撃パターンとかないの? 生前の拡大バージョンに終始してない? いや、まぁその、ここで総十郎、ギデオン、烈火、トウマ、フィンの五人はなんとか頑張って六振りのワールドイーターをすべて拘束し、アゴスの動きを止め、で総十郎がこうQTEめいたアクションとともにアゴスの本体からニョッキリ生えてきたヴォルさんのアバターとカラテするんだよ!!!! 新技披露はその機会だ!!!! いやしかし、そうはいってもアゴス形態のときも、もうひとつ、なんかほしいよね。なんか考えたい。そして話は変わるが、俺氏、なぜQTEがあそこまで蛇蝎のごとく嫌われるのか理解できないマンなので辛い。いや、ゆうてまともに触れたQTEって『ゴッドオブウォー』くらいのものですが。ええー、いいじゃんアレ。アクションゲームだと、プレイヤーに映画めいた外連味のあるアクションをさせられないので、それをやろうとするとただのムービーになってしまうので、超カッコイイムービーアクションをやりつつプレイヤーにも操作を強いて没入感を高めさせるというのは悪くないアイディアだと思うし、

 

 時間切れ。

 

(実際ゴッドオブウォーQTEに俺はまったく悪感情は抱いていない。大ボスへのとどめに使われるわけだが、その、ねえ? アクションゲームだと、プレイヤー裁量に何もかも任せると、小パンで止め刺しちゃうことってけっこうあるじゃないですか。そういう意味でもいいシステムだと思うんだがなぁ)

魔法の言葉「いい感じにアレする」

 出現した神韻軍刀の鯉口を切り、総十郎は前に――血の神アゴスの斬間へと踏み入ってゆく。

「付き合おう。我が身命をもって、一振りは封じて見せようではないか」

 ギデオンも躊躇なくそれに続く。
 二人の男の背中を成すすべなく見送るしかない。トウマも、フィンも、アゴスの斬撃に対応できないのだ。総十郎、ギデオン、烈火とは、生きている時間が異なる。

 え??? 進捗こんだけ??? ホワイ? 何なの? しぬの? セプクしろ? な? いや……今日は……昨日と一昨日、noteパルプをキメられなかったぶん……タイムラインに溜まっていった奴を片端から消化してたから……。しょうがないしょうがない!!!! そして『アンタゴニアス外典 押し潰されそうな空の下で』が完結し、一気読み版も投下された!!!! いや、自作の二次創作であるという強烈なバイアスはあるにせよ、それを差し引いてもこれは価値ある素晴らしい作品だったと思う。マジで。俺のさまざまな作品からオマージュがなされていたりするので、俺の小説が好きな人はマジで必読ですよ(遠藤さんをガン見しながら)。しかしどうしようか。居石=サンもクロロディスの目的は謎、と言ってゐたが、その、いや、決めてないことはないのよ!? ないのですが、それで劇中に示された行動のすべてが説明できるのかというと、その、まだ細かいところは定まってないというか……。まぁその、ジアドくぅんに内臓獄吏植え付けちゃうか!!! クロロディス氏!!!! それで、なんかこう、いい感じにアレして、そしてジアドくぅんの謎に包まれた〈機体〉が制御可能になるんだよ!!!!!

 

 時間切れ。

 

(ジアドくぅんの戦闘者としての最も脅威な点は、現在に張り付けられた過去のジアドくぅんの出現位置が事前に予測不能かつ阻止も不可能な点にあるが、この美点は機動牢獄に収監されると殺されてしまう。中身だけがワープするからな。これを防ぐために、ジアドくぅんと彼の〈機体〉はもっと根本的に一体化しなくてはならない。内臓獄吏はその仲立ちをするものになるのでは?)

「…」の数は原作再現です

 空中で天才ビームと闘気放射を行い、どうにか制動をかける烈火。

「屋上へ行こうぜ……ひさしぶりに………きれちまったよ…」

 銀糸の結界に着地し、こめかみをヒつかせながら烈火は言う。

「待て黒神。同じ攻撃は二度と通用せんらしい。」
「あァん!? ナメてんじゃねーぞロリコンてめー今のが俺の最強技だとでも思ってんのかコラァ!!!!」
「最初の一撃も事実上効いてはおらんかったではないか。少しは頭を使え。」
「じゃテメーがなんか策をひねり出せやァ!!!!」

 そして火の玉のように再び突撃。
 空間を軋ませるがごとき衝撃波の乱舞が撒き散らされる。

「ソ、ソーチャンどの……」
「――手はある。」
「ほんとでありますかっ?」
「ただし、手が足りぬ。」
「ふぇっ?」
「詳しく聞かせてくれ」

 ギデオンが幻炎とともに現れ、言う。

「まず、あの六振りの神統器(レガリア)の動きを封じぬ限りお話にならぬ。」
「封じる……? あれを……?」

 再び世界が紅く斬割され、凄惨な艶を持つ薔薇めいた軌跡が空間に灼き付く。相変わらずトウマの目には輝く線にしか見えない。間違いなく末端の速度が音速を遥かに超えた結果、大気を断熱圧縮せしめ、赤熱しているのだ。

「見ての通り、奴は本質的に不定形の体を得たにもかかわらず、生前と同じように固体を保ち、武具を振るってゐる。なぜか? いかにヴォルダガッダが戦闘の天才とは言え、液体となった体の動かし方など皆目見当もつかんからだ。ゆえに奴は生前の戦い方にまだ縛られてゐる。今この瞬間が最初にして最後の勝機なり。」

 懐から札を抜き放つ。

「一振りは小生が封じよう。残り五振り――それさえどうにかできれば、ひとつだけ血の神を滅する手管に心当たりがある。」

 その眼は、どこか彼らしからぬ冷酷な色を湛えていた。

「善人でいることは、どうしてこう難しいのか――殺意という名の絆、それをいま小生は確かに感じておる。振り払いたくとも絡みつき、我が宿命に禍々しい輪郭を添える。」

 出現した神韻軍刀の鯉口を切り、総十郎は前に――血の神アゴスの斬間へと踏み入ってゆく。

 無数の斬撃が乱舞しているとき、俺はよくその様子を「薔薇」に例えがちなのだが、これ伝わるのだろうかと毎度不安になるものの、これ以外に詩的な言い回しが思いつかないので困る。あれだ、薔薇っつったらおめー、なんかいっぱい花弁が密集してるやん? そのさまが、なんか無数の斬撃を思わせませんかという話であるが、どうなのだろうか。伝わるのだろうか。それはそうとアゴスの斬撃は超音速らしいのだが、あのー、あれだろ、超音速って、なんか衝撃波出るんだろ。『空想科学読本』で読んだから知ってるぞ俺。しかしどうも想像がつかない。衝撃波とはどういう形に広がり、どの程度の威力を持っているのか。ぜんぜんわからない。ところで『空想科学読本』では、ウルトラマンが超音速で飛行すると自らの発生させた衝撃波によってバラバラに砕け散る的なことが書かれていたが、いや、あの、日常的に怪獣と戦ってるような体の持ち主が? 衝撃波で即死って、あの、ウルトラマンの肉体の構成物質とか知りませんけど、どう考えても衝撃波ごとき余裕で耐えられるような体じゃないとそもそも超音速飛行能力なんか身に着けられないだろ……と幼心に思った。なんで既知の物質であるという前提なんだよと思った。

 

 時間切れ。

 

(面白かったけど、面白おかしい結論を出すことありきで論を進めているので、まったくフェアじゃないなと)

あとのんびり解説しすぎ

 トウマの動体視力では、それが斬撃であることを理解するのにすらタイムラグを要する。
 唐突に視界が変転。長い腕に抱えられて、紅い破滅の軌跡から逃れられたらしい事実を事後承諾めいて伝えてくる。

「まずいね」

 総十郎の小脇に抱えられながら、トウマは冷静にこぼす。

「言うまでもないことだけど、神経系の電位差による命令伝達なんてアレは行ってないから、僕の拘束術式は一切効かないよ」
「そ、そんな……」

 総十郎の反対側の脇に抱えられたフィンが眉尻を下げる。
 巨神のもとへと雄叫びを上げながら突撃してゆく烈火の姿が一瞬視界をかすめた。

「何度でもブチ撒けコルァァァァァッッ!!!!」

 光爆。
 世紀末伝承者の拳に込められた天文学的運動エネルギーが着弾と同時に熱エネルギーへと変換され、宇宙開闢のごとき閃光がその場の全員の目を灼いた。
 だが――その拳は振り抜かれなかった。行き場を失った烈風が爆散し、汚染幽骨の破片を彼方まで吹き飛ばす。
 攻撃動作が、途中で止まっていた。

『ありガとう……そイつは……モう……[覚えタ]……』
「あァ……!?」

 深く穏やかな声。烈火の拳は――すべてを砕く究極無類の一撃は――アゴスの顔面に命中して止まっていた。砕きもせず、めり込みもせず、吹き飛ばしもしなかった。
 直後に世界が紅い極大斬撃によって分割され、烈火は地の彼方まで吹き飛ばされていった。流星のごとく魔城を脱し、大樹に人間大の穴を開けながら一直線に地平線の彼方までカッ飛んで行く。

アゴスの肉体は汚染幽骨――つまり歪律領域(ヌミノース)によって形作られている。しかも森の意志よるものと、ヴォルダガッダによるものが融合し、根本的に性質が変化しているようだ」
「これまで、幽骨製の武具が破損することはたび/\あったが、黒神の一撃を受けて罅すら入らぬとはいかなる仕儀か。」
「手短に話すけど、森の意志が得た悟りとよくない噛み合わせを起こしている。森は「エルフを守りたい」「しかしオークなどの脅威がいつまでもなくならない」という矛盾を神代の昔に乗り越えた結果、歪律領域(ヌミノース)に覚醒した。「外敵の存在こそがエルフを強靭にし、種としての繁栄に導く」という止揚を得たわけだ。これが煉獄滅理の性質と組み合わさり、「一度受けた攻撃では二度と損害を受けない」という理になっている」

 空中で天才ビームと闘気放射を行い、どうにか制動をかける烈火。

  いや、トウマ氏、詳しすぎひん? なんで一目見ただけの汚染幽骨の性質を看破できるの? いや、こいつは、なんか名鑑を視認できるから、なんかそれ系のアレで、歪律領域の性質も、視認できるんじゃ、ないかなぁ。というかね、作中でもゆってるけど、アゴスが物理攻撃完全無効だとしたら、いままで幽骨製の武器防具が無敵ではなかったのはどういうわけなんだという話なんですよ。確か、絶罪支援機動ユニットに思い切り刺突したら砕け散ってたよね? あれはどういうことなの? 罪業ファンデルワールス装甲とか、分子間力を補強してるだけで、形而上的なレベルの守りとは言えないのでは? いや、あれは、アーカロト氏の第五大罪を受けて、もう機動牢獄どもの装甲とは比較にならないレベルのそんざいであるから、幽骨も砕けるんだよ。ええ……それもどうなのか。だって歪律領域は、というか幽骨剣は、ようするに「剣の形をした世界の果て」なんですよ。そこを境に別の世界になっている。異世界との境界線が、三次元空間においては剣の形になっているという代物である。ゲーム風に言うなら画面端である。それを、一方的に破壊できるのか? 第五大罪装甲は? なんか違和感があるなぁ。

 

 時間切れ。

 

(そうだとしても、幽骨甲冑をまとった騎士のお歴々がヴォルさんの攻撃で負傷してんのはおかしいだろう。書いている最中、幽骨武具は鋼鉄より頑丈だが無敵ではない、というつもりでいたはずである。それが、汚染幽骨だけは烈火の一撃に耐えられる理屈付けをしなくてはならない気がする)