螺旋のモノリス~京都湯けむり殺人神父ラヴィニ―のドキ☆釘付け魅惑大胸筋~

小説書きでミニチュアゲーマーが何の生産性もない無益なことばかり延々とくっちゃべってるブログ

仁義なきキャッキャウフフ

 正午――
 正体不明のモノリスが立ち並ぶ中、両軍は対峙していた。

 初期の戦場。
 左上、中央、右下には要確保拠点が存在しており、これら三つをより多く確保できた陣営の勝利である。
 ちなみに、拠点そのものは「通行しにくい地形」であり、中に入るとカバー・セーヴィングを得られる(要するに物陰に隠れるので射撃が当りにくくなる)。

中隊長「敵はレイダーを保持している、か。我らが前に出た隙に、戦場を大きく回り込んでここの拠点を確保してしまおうという魂胆だな」
軍曹「どうします?」
中隊長「軍を二つに分ける。私とタクティカル・スカッドはこのまま前進して中央の拠点を制圧。ターミネイター・スカッドドレッドノートはここを死守せよ」
一同「了解!」

ヴァトハール「えーっと、まぁとりあえずあのー、突っ込もうか。ね? いけるよね、多分」
女獄長「そーですね。今回いちばんいい戦闘薬物持ってきましたし、きっといけますよー、うんうん」
ウィッチたち「たのしみだねー」「ねー」
胸板兄貴inレイダー(敵は軍を二つに分けた……回り込んで奴らの拠点を奪おうって魂胆は見抜かれてたみてえだな)「よし、このまま巡航速度で前進しな。このターンで中央の拠点をブン獲る」
ウォリアーたち「いいんですかい? 俺らだけでスペースマリーンを相手にするのはキツいんじゃあ……」
胸板兄貴「俺らだけじゃねえよ。リーヴァーの三馬鹿にも話はつけてある。要は後ろのアホどもがたどりつくまで持ちこたえられりゃいいんだ」
 今回、スペースマリーン側は高機動の戦力を迎え入れていない。中央の拠点さえ確保してしまえば、回り込まれて後背を突かれる危険はほぼないと見て良かった。

 レイダーは速い。本当にもう何事かと思うほど速い。銀河最速クラスのビークルである。
「っしゃ、確保! いくぜ野郎ども! 間髪いれずに射撃だ!」
「合点!」
 スプリンター・ライフルの猛毒を湛えた結晶弾が、タクティカル・スカッドに降り注ぐ。

 だが、機動装甲服の硬さは半端ではなかった。一人を打ち倒しただけで終わる。
「マジかよ……」

 第一ターン終了!
ヴァトハール「この卵焼きうまー!」
ウィッチ「えへへー、ありがとうございますー」
 おひるごはんモグモグしたのち、第二ターンに入る。

中隊長「さて、貴様らの力は見せてもらった。はっきり言おう、我らが負ける要素は、ゼロだ」
軍曹「出た―! 中隊長どのの敗北フラグ立てだー! 中隊長はこの技でいくつもの死亡フラグをへし折ってきたんだ!」
中隊長「ゆくぞ同胞たちよ。我らが祭具の洗礼を受けさせてやろうじゃないか」
 腹に響く撃音と共に、歩兵用小火器としては最大級の威力を秘めたボルトガンの弾丸が大気を切り裂いた。

 爆音は、断末魔すらかき消した。
「あ、兄貴……二人やられちまいましたー!」
「拠点に立てこもってなおこの被害かよ……!」
 今更ながら、戦闘能力の差に慄然とする。
 だが!

「ヒャァ、我慢できねえ! 援護射撃だ!」
 初陣の惨状に懲りたのは、胸板兄貴だけではなかった。
 リーヴァー三人組もまた、考えなしに突っ込む愚を痛感していたのである。そりゃそうだ。
「俺たちの役目は!」「主力のみんなを支援する!」「あとついでにオトリとかやっちゃう!」
「あいつら……!」
 なんとなく熱いものがこみ上げてくる胸板兄貴であった。
「でもこのままだと次のターンで俺ら狙われね?」
「大丈夫! 俺らは射撃後も十二センチだけ移動できる!」
「左のモノリスの影に隠れれば問題なしー!」

 さらにレイダーも移動。船首に取り付けられた主砲「ダークランス」を撃ち放つ。
 条理を捻じ曲げる暗き光が、ドレッドノートの脚部に突き刺さり、破壊!
 これ以降、強大な戦闘能力を誇る青き巨神は、ただの固定砲台になり下がった。
「さて……」
 胸板兄貴はここでルールブック片手に悩んでいた。
 スペースマリーンたちはもはや目前に近づいている。次のターンで白兵戦を仕掛けてくるだろう。
 ルールによると、白兵戦でのダメージはカバー・セーヴィングできないらしい。つまり、このまま拠点に立てこもっていても何も有利な点がないのだ。
 仮に、ここでこっちから白兵戦を仕掛けたとする。パワーもタフネスも相手が上だが、唯一敏捷性だけはこちらが上回る。確実に先手が取れるだろう。
「その上、白兵戦を仕掛けた側は攻撃回数が+1される、か……」
 胸板兄貴は決断した。ここでタクティカル・スカッドを叩く。マリーン側には、他に拠点制圧を行える兵科はいない。目前の奴らさえどうにかできれば、ほぼ勝利は確定である。
「ここは賭けるべきだな……いくぜ、野郎ども」
「お、おっす!」

 今にして思えば――
 この瞬間、兄貴の命運は定まったのかもしれない。

「出てきたか……愚かな」
 中隊長の不敵な笑み。
 スペースマリーンの超強化された腕力が、ボルトガンを必殺の鈍器に変える。
「うぐぇ! あ、兄、貴……」
「ウソだろ!? なんで先手を取られるんだ……!」
「オヤオヤ知らなかったのか? その拠点は「通行しにくい地形」だ。そこを超えて白兵戦を仕掛けるなら、自動的に敏捷性が最低の状態で勝負しなければならないんだよ」
「な……な……ッ」
 唯一の武器を最初から封じられた状態での白兵戦――
 虐殺が、始まった。



 ――つづくッ!!
 なんでこんな長くなった……