私は家!!!!
前回までのあらすじ:月光パワーでムキムキビンビン。
クッソ長い回想が終了し、胸板兄貴は戦塵のただなかで剣型アゴナイザーを指揮棒のごとく振った。
「走れ! 側面に回り込みざまブチかますぜ!」
「「がってん!」」
目の前に迫り来る戦闘車両プレデターの砲塔を避けるように駆け込み、体を捻りざま側面装甲をポイント。引き金を引く。
ダークライトの乱舞。兜の防護機能ごしに見たそれは、黒い直線に幾重もの螺旋が絡みついていた。
爆発。
溶解スラグと化した装甲版が散乱する。
カバライト・トゥルーボーンとなった胸板兄貴分隊の射撃攻撃力は、もはや銀河屈指と言っていい。
胸板兄貴は通信端末を起動し、大声で叫んだ。
「おめーら! しゃんとしやがれーっ!!」
その怒声は〈網膜の恍惚〉のチャンネルを駆け巡り、全員の背筋に電撃を叩き込んだ。
『『そ、その声は……!』』
ヴァトハール『むッ』
女獄長『なッ』
三馬鹿『いッ』
ギョロちゃん『ギョロッ』
QBくん『あッ』
メンナク兄貴『に……』
エリテマトーデスくん『しねうんこ』
チェーン兄貴(ほじほじ)
胸板兄貴「そろえる努力をしろ!!」
女獄長「えへへー、お帰りー、胸板兄貴……ガクッ」
ウィッチたち「うーん、おやすみなさーい……ガクッ」
射撃には弱いからね。仕方ないね。
ヴァトハール「胸板兄貴ーっ!? 胸板兄貴きこえるかーい? おとーさんだよ〜!」
胸板兄貴『誰がお父さんだコラ! 帰ってきてやったぞコラ!』
ヴァトハール「もー、ちょっとー、もー、いままでどこほっつき歩いてたんですかこの子はもー、門限何時だと思ってるの!! お父さん激おこぷんぷん丸ですよ!!」
ザメンホフ「はい、黙れ」
背後から伸びてきたフレッシュガントレットがヴァトハールの後頭部をむんずと掴み、敵の矢面に立たせた。
ヴァトハール「アイエエエエエ!!」
襲い来るラスガンの猛射。
しかし、シャドウフィールドを纏うヴァトハールはすべて耐えきる。
ヴァトハール「フッ……いい打たせ湯だったよ」
セーヴが成功した後で余裕ぶるあたりが実に小物臭いなぁとギョロちゃん&……ちゃんは思った。
中隊長カルロス(コルッサーロ・ハーンのルールを使用)の超巨大包囲陣が機能し、予備戦力が全方位から続々と到着する。
黒い機動装甲服に身を包んだ彼らはデスウォッチキルチーム!!
ジェイド旗下のレンジャーたちにボルトガンを浴びせかける!!
チェーン兄貴「クソが……また左に寄りやがった……死ね!!」
舎弟たち「兄貴は左寄り!! ツイッターで拡散希望!! 重点!!」
ラットリング「ぎゃああああなんだこのシャブ中ども!!」
レイダーで敵陣深くに斬り込んだチェーン兄貴分隊は、チンポジをしきりに気にしつつラットリングを撲殺!!
ペイントークン一個ゲット。
三馬鹿「胸板兄貴ー! どこでなにやってたんスかー!!」
胸板兄貴『おう、まぁ、バカンスだよ。ちょいと月を見にいってたんだ』
三馬鹿「えええ、なんすかその唐突な風流キャラ付け……」
胸板兄貴『ともかく、立て直すぜ。おめーらはペナルレギオンを削りな。その隣のアサルトマリーンどもは多分あのダブルマダオがなんとかすんだろ』
三馬鹿「がってん!!」
三馬鹿「ヒャア我慢できねえ!! 轢き逃げだ!!」
切断翼&クラスター・カルトロップによって四人のレギオネアを切り刻む。
メンナク兄貴「男たちは帰ってきた……愛すべきものを守るため……」
QBくん「うむ……武人として一皮剥けておるな……やはり天才……」
エリテマトーデスくん「しねうんこ」
メンナク兄貴「そして失われた日々の哀しみは、今も彼らの胸にある……」
QBくん「だが胸板兄貴どのはそれを力に変えておる……大した奴だ……」
エリテマトーデスくん「しねうんこ〜」
QBくん「よし、我らはレンジャーへの救援に向かうとしよう」
メンナク兄貴「そこに気付くとは、やはり天才……」
QBくん「えっ……取ら……えっ?」
エリテマトーデスくん「しねてんさい」
QBくん「!?」
ヴァトハール「さぁ、というわけでね! 胸板兄貴の帰還を祝してね! 突っ込むよー!」
ギョロちゃん「ギョロ〜!」
……ちゃん「……♪」
ヴァトハール以外全員死亡。
ヴァトハール「ああああああああああああ」
ザメンホフ「学習しない男ですねぇ……」
――ザメンホフは。
その後のことを考えていた。ヴァトハールはアホだが、剣技は本物である。単騎でアサルトマリーンを殲滅することも不可能ではない。
そして新生胸板兄貴分隊の壮絶な射撃攻撃力は、今ここからでも〈帝国〉軍の主だった戦力を一掃出来る。
チェーン兄貴分隊が無傷で生き残り、ペイントークンを一個ゲットできているのも大きい。このシャブ中どもがマーカーを確保している間にヴァトハールと胸板兄貴が効率よく暴れられれば……
そのとき、ヴァトハールがくいくいと腕を引っ張ってきた。
「……ね、ねえ、ザメンホフくん……」
「なんですかクソ無能」
「1ダメージ、食らっちゃった……シャドウフィールド、破れちゃった……えへへ」
「ああそうですか。死ねばいいんじゃないでしょうかね」
「いやあああああああ」
シャドウフィールドがないと夜中一人でトイレにも行けない男、ヴァトハール。
チェーンソードに切り刻まれて惨死☆なう!
「だが、まだだッ!!」
胸板兄貴分隊は、次なる敵に向けて疾走していた。勝ち目は、まだある。チェーン兄貴分隊が乗り捨てたレイダーを拝借し、戦場を飛び回りながらマーカー確保能力を持った敵部隊を片付けるのだ。
瞬間――
背後より。
「戦術、とは」
その、男。
滅紫の宝剣を携えた、中隊長。
「適切な場所に適切な戦力を配することを言う」
「な……にィ……!?」
「一手、出遅れたな。貴様の攻撃力には肝を冷やされたが、守勢に回ってもまだその威勢を保っていられるか試すとしよう」
マリーンたちは一斉にボルトガンを構えた。
報復の祭具が、咆哮を上げる。
「ぐぅ……くそッ!」
攻撃力は激増したが、耐久力はウォリアーの頃とまったく変わってない胸板兄貴分隊。
一瞬にして惨死☆なう!!
かくして、趨勢は決した。
胸板兄貴を仕留めたクリムゾンフィスト戦団の中隊長カルロスは、このまま一気に圧殺してくれようかと思案していた。
が――通信端末(コムリンク)を通じて入ってきた積層都市からの報告に、目を剥く。
「馬鹿な……まさか……!」
上空から舞い降りてきたエルダーの兵団に包囲され、いつまで持ちこたえられるかわからないという。
『時間稼ぎは、このあたりで良かろう』
唐突に割り込んできたその声は、さっきまでエルダーを率いていたアウタルークのものだった。
『人類よ、お前の勇戦に敬意を。本来はこちらの戦線でも勝利を収め、我が軍の本体と連携して包囲殲滅するつもりであったが……よもやこれほどの損害を被るとはな』
「異種族(ゼノ)の首魁め……自らを囮にしていたか……!」
『ここでこうしている場合ではなかろう。貴様らの粗末な掘っ立て小屋の集合体は、今にも業火の中で焼け落ちるところだぞ』
ぎり、とカルロスの歯が軋る。
だが、即座に思考を切り替えた。
「急ぎ戻るぞ! 一刻の猶予もない!」
慌しく去ってゆく〈帝国〉軍を背中を見送りながら、追撃する力も残っていないエルダー&ダークエルダー連合軍。
恐らく、これからもこの惑星をめぐって、アウタルーク・ジェイドと中隊長カルロスの戦いは続いてゆくのだろうが――
そんなことよりカツ丼たべたい、と切に願う陰謀団〈網膜の恍惚〉であった。
あと、胸板兄貴の帰還をお祝いしないとね。
本日の獲得ペイントークン:三個。