螺旋のモノリス~京都湯けむり殺人神父ラヴィニ―のドキ☆釘付け魅惑大胸筋~

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ケイネス先生の聖杯戦争第五十六局面

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 「「令呪をもって我が従僕に命ずる! いかなる呪いも、いかなる汚濁にも屈さず、汝の騎士道を征け!!」」ケイネス先生と雁夜おじさんの命令が轟き渡る。それは雷撃となって二人の騎士を貫き、加護となった。「「――認識した。我が主よ」」誉れを抱き、噛みしめ、ディルムッドとランスロットは疾風と化す。アロンダイトの対軍宝具的運用によってできた道を、人を越えた俊足で駆け抜ける。――ランスロットは、狂化していた間の記憶を完全に保持していた。そして、聖杯にかける望みをもたず、アルトリアもすでに脱落したこの冬木において、なぜ自分がいまだにこの戦いに関わりつづけているのかをようやく自覚した。隣を並走する、今生の相棒に語り掛ける。「ディルムッド。私は君ほどに騎士道に対して純粋ではあれなかった。だが、騎士として生きたことを後悔できるほど、一人の男に徹することもできなかった。なんとも中途半端な人間だ。だから、だからこそ、ひたむきに忠義を尽くす君の姿は、私にとっては救いだった。君を見ていると、やはり騎士として生きた私の生涯は、虚無へ至る道などではなかったのだと思えるのだ。信じられるのだ」「ランスロット……ならば、あなたにとって騎士道とは呪いでも枷でもなかったと言うのか?」「そうとも断言できないのが、私の中途半端なところだよ」湖の騎士は、困ったように笑う。「責務と愛のはざまでフラフラと揺れ動き、迷いなく身命を捧げられる確固としたものをついにこの魂に培うことができなかった。その意味では、我がマスター雁夜にも、私は憧憬を禁じ得ない。徹底的に愛に生きたあの男と、徹底的に騎士として生きた君。二人はそれぞれ異なる形での救いだった。君たちの力になりたい。今、私にあるのはそれだけだ。それを成し遂げられれば、私は自分の生涯を肯定できるのだ」「買い被りだ、最強の騎士よ」ディルムッドは目を伏せる。「当の俺自身が、あなたに劣等感を抱いているのだ。あなたがギネヴィア妃を愛したほどに、俺はグラニアを愛せていただろうかーーと、そう、思うようになってしまった。あなたは俺や雁夜どのに出会うことで迷いが晴れたという。だが、俺はあなたと出会うことでむしろ迷うようになってしまったよ」「なるほど。では、中途半端同士というわけか」ランスロットは苦笑する。「だが、それでも」「あぁ、それでも、だ」二人は拳を突き合わせ、互いの友誼と信頼を交わす。そして、目前に迫った大穴を、炯と睨み付けた。「「英霊として、騎士として、男として、人間として!!」」気を吐き、汚濁と憎悪と悪意の坩堝へと身を投じた。「「『この世のすべての悪』は容認できない!!」」