螺旋のモノリス~京都湯けむり殺人神父ラヴィニ―のドキ☆釘付け魅惑大胸筋~

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ケイネス先生の聖杯戦争第五十八局面

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 あまりにも見覚えのありすぎる闇色の人影に、ディルムッドは目を剥く。それは、これまでに倒れていった五騎のサーヴァントたちとあまりにも瓜二つで。――つまるところ聖杯の中に取り込まれた英霊の霊子情報を、アンリマユが歪めて再現したものに他ならなかった。自己防衛のための、急場の護衛。だが――ディルムッドは、このうち四騎に関しては、特段の脅威を感じなかった。以前の彼らにあった荘厳なる風格――英霊としての存在感がまるでない。そこに魂はなく、ただ機能だけが再現されたものとしか思えなかった。恐らく、サーヴァントとして健在な状態で汚染されたのならば恐るべき脅威となったのだろうが、討ち取られて供物として捧げられた時点で、英霊を英霊たらしめる不可欠の何かがすでに現世から失われてしまったのだ。「冒涜だ」怒りを込めて、ディルムッドは吐き捨てる。だが――同意を期待していた隣の相棒は、何も言わない。ただ茫然と、五騎の中の一騎を見つめていた。それだけでディルムッドはすべてを察した。「友よ。他の四騎は俺が片づける。あなたは本懐を遂げてほしい」「本懐、などと……」想像を絶する苦痛を耐えるような、哀切な顔をしていた。「あれは違う……あそこに我が王などいない……いないのだ……」自分に言い聞かせるようにつぶやきながら、ふらふらと前に進む。闇色のセイバーもまた、それに応えて歩みを進めてきた。瞬間、背後に気配が唐突に出現した。闇色のアサシンが不意を討ちに来たのだ。眉一つ変えずにゲイボウを脇から背後に突き出し、一撃のもとに霊核を貫いた。それを契機に、最後の戦いが始まった。