シロガネは?(殺意)
モスラが出てきた。え? モスラである。あのー、モスラとしか呼びようのない怪物が、モスラと作中で呼ばれながら出てきた。頭がどうにかなりそうだった。また最初の前提を確認しておくが、『柳生陰陽剣』は伝奇性の強い時代小説である。著者の荒山徹先生は別に東宝と、なんかこう、手を組んだりしているわけではない。そうゆう小説に、モスラが出てきたのである。俺は自分が何を読んでいるのかわからなかった。ふざけてんのか!!!! しかも、読み進めるうちになんか納得してしまうのが恐ろしい。大丈夫かと言われれば全然大丈夫じゃないんだけど、なんか「解慕瀬(ヘモス)が頤使した蠡(ラ)だから慕瀬蠡(モスラ)」とかわけのわからないことを言われると、朝鮮の言葉とか全然わからない俺は「お、おう……そうなのか……」としか言えなくなってしまうではないか。ふざけてんのか!!!!! まぁしかし、最強美形魔法剣士友景くんが朝鮮妖術師と戦う物語ではあるのだが、特筆すべきは朝鮮という国への眼差しである。俺の目には極めてまっすぐとかの国を見ているように感じられる。美点も、汚点も、極めてフラットな視点で綴られているのだ。そこにはライト右翼な人々や、はたまた「ヘイトスピーチやめろ」とか訳の分からないことを言っている人々の、凝り固まった思想性は存在しない。
時間切れ。
(少なくとも荒山先生は親韓国ではないと思う。それぐらいぶった切るところはぶった切っているのだが、しかし異様なまでの知識量を感じさせる朝鮮描写からして、嫌いという感じもしないのだ。日本ではなかなか見られない新鮮な視点である)