ケイネス先生の聖杯戦争第三十三局面
だがここで時臣より待ったがかかる。まぁ、当然ですわ。ギルにとって聖杯は、くれるなら貰っとくか程度の存在だが、時臣にとっては根源に至る重要な鍵である。令呪をもって小聖杯への攻撃は禁ずるはずだ。ここにきてこの主従の亀裂は決定的となった。そして時臣はこの戦いにおける勝機を逃したのだ。彼はすでに緒戦においてギルが野放図に宝具を見せびらかそうとするのを令呪で止めている。そして今、二画目を使ってしまった。ギルを自害させる用の最期の一画は、もうこの戦いには使えないのだ。とはいえ――戦況はいまだアーチャー圧倒的有利である。ゲートオブバビロンを千くらい多重展開し、一斉射。弾幕シューティング開始のお知らせである。無論、いくら敏捷A+と心眼Bを持つディルムッドとてこれはかわし切れまい――と、思われた。だが、大方の予想に反し、ディルムッドはこれを無造作に回避、回避、回避!!!! 目を剥くギル。おかしい。そんなことはありえない。奴の力はここまでで見て取った。その運体は確かに英雄に相応しいものだが、この真アキめいた弾幕を
時間切れ。
(かわし切るなどこの世の誰にも不可能である。そのはずだった)