ケイネス先生の聖杯戦争第三十八局面
一方そのころ、サーヴァント戦。ヴィマーナの玉座にふんぞりかえり、ゲートオブバビロンで眼下一体を徹底的に爆撃しようとしたその瞬間――アーチャーの視界に空間の揺らめきが発生した。それは一瞬で人型となり、実体化する。ディルムッドである。特にどうということもない。霊体化すれば重力のくびきからは自由になれるのだ。原作においても、ディルムッドは同様の行いをランスロットの宝具化戦闘機に対してやっている。ヴィマーナに乗り移れない道理はない。だが――ギルはここで頬を歪める。あぁ、そうであろうよ、飛び道具のない貴様ならそうせざるをえんだろうよ。わかっていたし、読めていた。そしてディルムッドの胸元から小聖杯が失われていることを見て取り、獰猛な笑みを浮かべる。そう、霊体化してしまうと、自前の武器と具足以外の物は持ち運べなくなるのだ。今頃小聖杯は柳洞寺の境内で空しく転がっていることだろう。聖杯への攻撃を禁じられたギルだったが、これでようやく遠慮仮借なくエヌマエリシュをブチ込める。やおら立ち上がり、乖離剣を振りかぶる。今度こそ発動する最強宝具!!!!
時間切れ。
(水平に振り抜かれる次元断層。前方百八十度、天地を分けた一撃が薙ぎ払った)