下顎のちからってすげー!!!!!
たとえば、「雷」は電子の移動現象で、「火」は可燃物の酸化反応に伴う発熱や発光である。どちらも「雷」や「火」という物質が存在しているわけではない。ゆえに無からいきなり雷や炎が発生しても精霊力を考えれば不条理感は薄い。だが「風」「水」「土」は違う。確たる物質である。それが唐突に現れる。無から有を作り出している。それは神の御業である。そんなものを修行を積んだだけの人間が使えていいわけないだろ!!!! いいかげんにしろ!!!!!! 四大元素として同列に語られているが、この明らかな差異をどう考えればいいのか。そも物質とは何か。エネルギーが取りうる一形態である。物質とエネルギーには等価性があり、相互に交換可能である。そして魔力は純然たるエネルギー概念である。つまり魔力を変換して物質をつくることは理論的にそれほど外れてはおるまい。それだと精霊力が意味ないでしょうが!!!!! だがちょっと待ってほしい。雷の精霊力を「原子核めいたなんか」と定義づけたわけだが、水、風、土もこれと同じことがいえるのではないか。「通常の物質とは異なるふるまいを成す原子核めいたなんか」と考えれば、すべての精霊力を同じような理屈で扱えるのではないか。
時間切れ。
(そして炸裂する下顎。ぼとりと地に落ちる舌。血肉と骨片を浴びながら、俺は考える。今考えてる俺はどこにいるんだ?)