黒衣の男の追跡に集中してくれ
『ダークタワー』を読み進める。ガンスリンガーのローランド氏は、本編が始まるより前の時系列で、すでに色々と冒険なり惨劇なりを経験してきた。ダークタワーという物語は、彼の冒険の途中から始まる物語なのだ。話の本当の始まりから始まったりはしないのである。これはもちろん作劇として有用なメソッドであり、本当の始まりから物語を始めるのはテンポを阻害することが非常に多い。なのでこれ自体は良いのだが――ローランド氏、読者が全く知らない人物の名前を気軽に何の説明もなくポンポン出すものだから、非常に混乱するというか、そんなに覚えられねえよ!!!! もっと現在のことに集中しろよ!!!! という気持ちになった。いや実際のところ、こんなに頻繁に過去の回想が流れる小説は初めて読んだかもしれない。その回想、いる? 今この瞬間に出さなければならない情報なのか??? というようなことを思った。当然ながら読者は、新たに出てきた人物を「うさん臭くてどうでもいい他人」から「今後の動向が気になる身内」に変えるまでにしかるべきプロセスを踏んでもらわなくてはならないのだが、ローランド氏と過去を共有していない読者に対してこの回想乱打はいかがなものか。
時間切れ。
(しかし、なんというかこの読み味は初めてというか、上記のことを加味しても決して読みづらくはないのである)